「火葬の後に遺骨を自宅に持ち帰る」「お墓の引越し(改葬)をする」など、遺骨を運ぶ必要があるとき、どんな方法があるのでしょうか?どんな点に注意すればいいのでしょうか?
この記事では、ご遺骨を運ぶ方法と運ぶ際の注意点などについて紹介します。
自家用車やタクシーで運ぶ場合
抱き抱えるようにして運ぶ
自家用車やタクシーを利用して遺骨や骨壺を運ぶ際は、遺骨を収めた骨箱を抱くようにして運びましょう。トランクなどに置くよりも抱き抱えるように持ったほうが安定します。
ひとりで運ぶときは
自家用車を使ってひとりで遺骨を運ばなければならない場合は、シートベルトで動かないように骨箱をしっかり固定します。急ブレーキなどで落ちないように万全の対策をとりましょう。骨壺は陶器で作られていて壊れやすいので、取り扱いには十分に注意してください。
バス・電車・新幹線を利用する場合
手荷物として持ち込み可能
遺骨をバスや電車で運ぶ場合、基本的に手荷物として持ち込むことが可能です。何らかの手続きをとる必要もありません。
ただし、ほかの乗客に配慮することが必要です。風呂敷などで骨壺を包み、周囲から遺骨とはわからないようにしましょう。
骨壷を運ぶための専用バッグもある
最近では、持ち運びしやすいように持ち手が付いた骨壷専用のバッグも販売されているので、それを利用してもよいでしょう。通信販売で購入できるほか、葬儀社でも取り扱っています。
私は、葬儀社から4,000円ほどで買いました。材質は不織布で、高級感などはまったくありません。また、ほかに使いみちがないので、正直なところ、「これで4,000円は高いな」と感じました。でも、骨壺はとても壊れやすく、持ち運びする際には気を遣うので、できればあったほうがいいと思います。
飛行機を利用する場合
飛行機の機内へ持ち込めるか?
国内線では基本的に遺骨を持ち込むことが可能ですが、飛行機会社によっては手荷物扱いになるケースもあります。手荷物として機内へ持ち込める荷物には、サイズの規定もありますので注意が必要です。
機内への骨壷の持ち込みの基準やルールは、飛行機会社によって異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。
搭乗し席に着いたら、膝の上に置いて問題ないか、座席上の共用収納棚へ置かなければならないか、客室乗務員に確認し、指示に従ってください。
また運び方としては、ほかの公共交通機関同様に、バッグに入れたり風呂敷で包んだりして、遺骨とわからないように他の乗客に配慮しましょう。
なお、遺骨の国際線機内への持ち込みは、各社によって対応が違うので事前に調べてから搭乗することをおすすめします。
保安検査場でのチェック
国内線・国際線ともに保安検査場でのチェックに通らないと飛行機に骨壷を持ち込むことはできません。
金属製の骨壺だと、映像がぼやけてX線検査に引っかかってしまう可能性があります。中身が判明しないなど、空港の保安検査場で探知機の反応が出た場合は、詳細な検査がなされます。
万が一の際に誤解を防ぐためにも「遺骨に関する書類」も準備してから搭乗するようにしましょう。
「埋葬証明書」「火葬証明書」「埋葬許可証」「火葬許可証」「死亡診断書」などです。国や地区によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
遺骨を宅配便で送りたい場合
もし自分で遺骨や骨壺を運ぶことができない場合、宅配便を利用して遺骨や骨壺を送ることはできるのでしょうか。
遺骨を宅配できるのは「ゆうパック」のみ
2022年12月現在、遺骨を送ることができる宅配業者は日本郵便の「ゆうパック」だけです。
ヤマト運輸や佐川急便など宅配便を取り扱う会社の多くは、「破損や紛失の責任がとれない」という理由で、遺骨の配送を請け負っていません。
国内であれば、遺骨をゆうパックで郵送できます。ただし、一般の荷物と同様の取扱いであり、損害賠償の対象としていないため、特別な補償はありません。
ゆうパックで送る際の注意点
郵便局では遺骨も通常の荷物として扱われます。骨壺が割れないように丁寧に梱包をして伝票に「割れ物」と記載して送付しましょう。
ゆうパックには損害賠償制度があり、万が一荷物が壊れたり、紛失したりした場合、最高30万円までが賠償されます。しかし、遺骨は客観的な価値がつけられないため、破損や紛失などがあっても損害は賠償されません。
また、ゆうパックは国内のみの取り扱いのため、海外へ遺骨を送ることはできません。また、ゆうパックの国際版である「ゆうグローバルエクスプレス」では、遺骨は引き受けてもらえません。遺骨の郵送ができるのは、国内に限られます。
ゆうパックを利用してご遺骨をお寺や霊園に送る場合は、必ず事前に「遺骨を送る」旨を伝えて、受け取りが可能かどうかを確認してください。お寺や霊園によっては、郵送での遺骨の受け取りをしていないことがあるためです。
まとめ
骨壺はとても壊れやすいため持ち運ぶ際は十分に注意しましょう。運搬方法について、事前にしっかりと確認しておくと安心です。