墓じまいの流れ|9つのステップで進めましょう

お墓どうする

墓じまいとは、もともとあるお墓からお骨を取り出し、更地に戻してからお墓の管理者(寺院など)に土地を返還することをいいます。

今回は、墓じまいの流れについて紹介します。

墓じまいの流れ

墓じまい(改葬)の全体の流れは、以下のようになります。

  1. 家族や親族と話し合う
  2. 今ある墓地の管理者に墓じまいの意向を伝える
  3. 改葬先(遺骨の引っ越し先)を決める
  4. 墓石の解体工事をしてもらう石材店を決める
  5. 役所で手続きをする
  6. 閉眼供養をする
  7. お墓を撤去する
  8. 遺骨のメンテナンスをする
  9. 受け入れ先のお墓へ納骨する

1. 家族や親族と話し合う

墓じまいで最初にやらなくてはいけないことは、家族や親族との話し合いです。
墓じまいをしたいと思ったら、まずは家族やお墓に関係する親族に「墓じまいを検討している」ことを打ち明けて話し合いをしましょう。

墓じまいする人が増えているとはいえ、遺骨を移すことやお墓をなくしてしまうことに対して抵抗を感じる人も数多くいます。墓じまいの必要性を理解してもらえずに反対されたり、費用負担に関して揉めたりする可能性もあります。

断りなく墓じまいをしてしまうと、後でトラブルに発展するケースがあります。必ず親族の合意を取ってから進めるようにしましょう。

2. 今ある墓地の管理者に墓じまいの意向を伝える

お寺にお墓がある(寺院墓地)場合、親族との話し合いや改葬先の検討と並行して進めたいのが、寺院への相談です。

寺院墓地で墓じまいをするということは、檀家をやめること(離檀)になります。
檀家とは、寺院の信徒になり、葬式や法事などの仏事全般の面倒を見てもらう代わりに、お布施や会費を払うことで寺院を経済的に支える家のことをいいます。

檀家をやめるということは、お寺にとっては減収に直結するため、すんなりと話が進まない場合があります。

まずは、墓じまいは決定事項ではなく、あくまでも相談として話しましょう。これまでお墓を守ってくれたことに対する感謝や、墓じまいしたい理由なども合わせて伝えます。

お寺との話がこじれると、高額な離檀料を要求されたり、手続きに必要な書類を出してもらえなかったりなど、不要なトラブルを招きかねません。

3. 改葬先(遺骨の引っ越し先)を決める

続いて、墓じまいで取り出す遺骨の供養方法を決めなければなりません。
別の場所にお墓を建てるのか、樹木葬などの永代供養にするのか、それとも散骨や手元供養にするのか、など供養方法はさまざまです。

墓地のある地域の役所から許可をもらわないと墓じまいはできません。「遺骨の受け入れ先が決まっていないと許可を下ろさない」という自治体もあるので、注意しましょう。

4. 墓石の解体工事をしてもらう石材店を決める

墓じまいをする際には、墓石を解体・撤去し、お墓を更地にして管理者に返す必要があります。この作業は石材店に依頼します。

墓じまいの工事費の相場は「1㎡あたり10万円前後」ですが、墓地の形や地形によっても差があります。

立地などによっては、重機を入れることができずすべて手作業になるため、予想外に高額な工事費用が請求されるケースもあります。

実際に墓地を見てもらい、契約前に必ず見積もりを出してもらいましょう。できれば複数の石材店から相見積もりを取るといいでしょう。

ただし、お寺によっては、お寺が指定した石材店しか工事ができない場合があります。その場合は複数の業者に見積もりをお願いすることは難しいので、詳細な見積もりを出してもらうようにしましょう。どんな作業にいくらかかるのかをよく見て、おかしいと思う点があれば納得がいくまで確認することが大切です。

5. 役所で手続きをする

墓じまいには原則として法的な手続きが必要

関係者の合意や手配が整ったら、現在のお墓がある自治体の役所で書類の手続きをします。

誰の遺骨が何体あるのかを確認します。できれば、いつごろ埋葬されたのかも調べておきましょう。

注意点として、役所の手続きは、お墓の撤去・解体工事までに終わらせておくことが重要です。

墓石の撤去工事が完了すると、取り出した遺骨は、自分で引き取りに行くか、新しく入る霊園や墓地に石材店から送ってもらうのが一般的です。

しかし、役所の手続きが終わっていないと、遺骨を移動することはできません。墓じまいの手続きはすぐできるものではないので、事前に余裕を持って墓石撤去の1か月ほど前から書類の手続きを始めておくようにしましょう。

散骨や手元供養する場合

散骨する場合や、取り出した遺骨を自宅で保管(手元供養)する場合、基本的に役所の手続きは不要です。

ただし、自治体によっては、手続きが必要なところもあります。散骨や手許供養を検討している場合であっても、念のため役所に確認しましょう。

また、自宅安置の場合、ゆくゆくは遺骨をどこかに埋葬することになるので、手続きをしておいたほうがいいでしょう。

6. 閉眼供養をする

仏教信者の方に限られますが、閉眼供養・抜魂法要と呼ばれる宗教儀式を行います。
墓石を撤去する前に、閉眼供養(へいがんくよう)を行います。閉眼供養とは魂抜きとも呼ばれ、お墓に眠る故人やご先祖の魂を抜き、墓石をただの石に戻す儀式です。

儀式の方法としては、宗派ごとに異なるようですが、お寺のご僧侶に墓前で読経してもらうことが一般的です。

なお、閉眼供養は絶対にしなくてはならないものではありません。しかし、閉眼供養が済んでいないと工事を請け負ってくれない石材店も多いです。また、墓石には仏様やご先祖様の魂が込められているので、やっておいた方がよいでしょう。

墓石の解体・撤去工事の当日ではなく、事前に済ませることもできます。また、遺骨の取り出しは、状況によって、閉眼供養のとき、あるいは石材店の解体工事のときに行います。

かかる費用は、あくまでもお気持ちでお渡しするものなので、明確な基準はありません。地域の風習やお寺とのお付き合いの長さによってさまざまですが、お布施1回分(3万円~5万円程度)が平均として多いようです。

7. お墓を撤去する

役所の許可申請がおりたら、いよいよ「お墓の撤去」が可能になります。

石材店に墓石の解体工事をしてもらい、更地にして墓地の管理者(お寺)に返還します。

工事には必ずしも立ち会う必要はありませんが、問題なくきとんと工事が終わったか確認するためにも、立ち合いをしておくとよいでしょう。

取り出した遺骨は現地に引き取りに行くか、石材店から改葬先に発送してもらいます。

8. 遺骨のメンテナンスをする

長い間お墓に納められていた遺骨は、溶けていたりカビが生えていたりすることがあります。

専門の業者に依頼して、遺骨を洗浄・乾燥(洗骨:せんこつ)してから新しい改葬先に移動させましょう。

散骨する場合や、改葬先のスペースなどによっては、遺骨をパウダー状に細かくしておく必要があります。パウダー状に細かくすることを粉骨(ふんこつ)といい、これも専門の業者に作業してもらいます。

なお、古い遺骨は火葬がされていないことがあります。その場合は、役所に再火葬申請をして火葬を行ってください。

9. 受け入れ先のお墓へ納骨する

墓じまい後、新しいお墓や納骨堂などに納骨します。これを改葬といいます。なお、散骨はお骨が残らないため、改葬とはいいません(墓じまいで終了)。

遺骨を新しい改葬先に運ぶ際に公共交通機関を利用する場合は、骨壷用の持ち運びバッグなどを利用して他の乗客に配慮しましょう。

まとめ

お墓に対する価値観の変化や家族の在り方の多様性も相まって、近年、墓じまいは増加傾向にあります。

墓じまいは、まず親族や寺院と相談するところから始まります。どんなに急いでいても、関係者の納得を得ずに進めることはよくありません。

墓じまいを検討し始めたら、この9つのステップに沿って進めていきましょう。

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