お墓を建てるときほどではないにせよ、墓じまいにはそれなりにまとまった金額がかかります。自治体によっては、墓じまいに関する補助金制度を利用できる場合があります。
今回は、墓じまいの補助金制度についてご紹介します。
補助金を出してくれる自治体はそれほど多くない
自治体によっては、墓じまいの費用の一部を補助金・助成金として負担してくれるところがあります。ただし、墓じまいに補助金を出すかどうかは、自治体の方針により異なるため、すべての自治体が補助金を出してくれるわけではありません。
墓じまいに関する助成金制度を設けている自治体はそれほど多くないのが現状です。しかし、お墓の継承者の減少などで放置されてしまうお墓を増やしたくないと考える自治体は少なくないはずです。
そのため、補助金制度はなくても、それに代わる制度や何らかの援助をしてくれる自治体もあります。
補助金を出してくれるか、利用できる制度がないか、お墓がある自治体の役所に問い合わせてみましょう。
補助金を出している自治体の例
残念ながら、「墓じまいの補助金」を出している自治体は、それほど多くはありません。
現状、継続して墓じまいの補助金を出している自治体の例をご紹介します。
千葉県市川市
千葉県市川市では、「市川市霊園一般墓地返還促進事業」として、お墓の撤去費用に対して補助金がもらえます。
補助金の金額は、墓地の種類や区画の大きさによりますが、最高で44万円です。
千葉県浦安市
千葉県浦安市では、「墓所返還者等支援事業」として、墓石の撤去などの原状回復費用について、15万円を上限に支給されます。また、無料で合祀してくれる支援制度もあり、撤去費用の補助金と合わせて利用可能です。
なお、2022年12月現在、令和4年度の補助金交付は終了しています。次回は、令和5年4月3日から受け付けが始まります。
群馬県太田市
群馬県太田市では、八王子山公園墓地の利用者に対して、墓石撤去にかかった費用について補助金を出しています。上限は20万円です。
墓じまいに関するサポートのある自治体など
補助金ではありませんが、墓じまいをしやすくするための支援策を設けている自治体もあります。
公立の墓地や霊園を利用していて、一定期間内に墓地を返還すると、支払った使用料の一部を返してくれる自治体もあります。
自治体によって制度内容や手続きのやり方はさまざまです。
ここでは、具体例をいくつかご紹介します。
北海道苫小牧市
市が管理する霊園を使用許可後2年以内に墓じまいする場合は、使用料の半額を返してもらえます。(北海道苫小牧市HP)
大阪府泉大津市
大阪府泉大津市では、市が管理する公園墓地を30年未満で墓じまいすると使用料が一部返還されます。(大阪府泉大津市HP)
東京都立霊園
東京都立霊園には「施設変更制度」という制度があります。
施設変更制度は、都立霊園を使用していて、自分の代でお墓を継ぐ人がいなくなる人が対象です。使用していた墓所を東京都に返還し、遺骨を合葬埋蔵施設に移すと、東京都が使用者に代わって遺骨をお守りしてくれるという制度です。年に3回募集しています。
なぜ補助金がもらえるのか
自治体が墓じまいに補助金を出すのは、無縁仏(むえんぼとけ)の増加が深刻化しているからです。
無縁墓にしないようにするには、お墓の継承者や縁故者を探して、墓地の管理を依頼するのが一般的です。しかし、親族が高齢化して管理できなかったり、遺骨の引き取りを拒否されたり、そもそも縁故者が見つからないなどの理由から、無縁仏が増えているといわれています。
誰からも管理されない無縁仏のお墓は、残っていると墓地全体の景観や環境が悪くなっていきます。手入れするにしても維持費がかかります。
継承者が不在で管理されなくなった無縁墓は、法律に従いお墓の管理者や自治体が撤去しなければいけません。無縁墓は、寺院や霊園の管理者にとっても大きな負担となります。そのため、墓じまいに補助金を出してでも無縁仏を減らしたいと考えているのです。
まとめ
補助金の取り組みをしている自治体はまだまだ少ないのが現状です。しかし、補助金制度がなくても、何らかの代わりの制度を用意している場合もあります。
墓じまいの補助を受けたいと思ったら、現在のお墓がある自治体に、墓じまいに関して利用できる制度がないか、問い合わせてみましょう。