後悔しない介護をするために|親が元気なうちに聞いておきたいこと

介護

「久しぶりに帰省したら、親の様子がなんとなくおかしい」
「親が急に具合が悪くなって入院したけど、親の身体のことや生活状況がわからなくて困った」

親が高齢になると、こうしたケースが増えてきます。親の介護はいつ始まるかわかりません。

後悔しない介護をするために、親が元気なうちに親の希望や考えを聞いておくことをおすすめします。どんなことを聞いたらいいのか、話を聞く際にはどんな点に気をつけたらいいのかをお伝えします。

親が元気なうちに確認しておきたいこと

親の希望や考えを聞くといっても、具体的にどんなことを聞いたらいいのでしょうか。ひとつずつ解説します。

健康・身体に関すること

介護が始まると、過去の病気やケガについて、かかりつけ医や介護施設の職員に聞かれることや入院先の病院で書類に記入するなどの場面に多く直面します。

介護方針を決めるうえでも重要な判断材料となるため、親の持病や服用している薬、かかりつけ医などの情報を聞いておきましょう。健康保険証やお薬手帳などの保管場所も把握しておいてください。

若い頃にかかった病気やケガ、アレルギーの有無のほか、親族の中に短命の人やがん、脳卒中や心臓病などにかかった人がいないかも併せて確認しておくと安心です。

生活などに関する希望

趣味嗜好や生活リズムについても聞いておきましょう。

  • 食べ物の好き嫌い
  • 起床時間や就寝時間、食事時間など
  • 触れられたくない体の部位があるか
  • 日々の生活で困っていることや不安に感じていることはないか

ご近所で仲が良い人はいるか、参加している地域の集まりやサークル活動、親戚づきあいはどうなっているのかなど、人間関係についても確認しましょう。

これらの情報は、いずれ介護が必要になったときに役立ちます。

介護に関する希望

どこでどんな介護を希望するのか、なるべく具体的に希望を聞いておけるといいでしょう。

  • 在宅介護か施設介護か
  • いずれは施設介護でもいいのか
  • 別居している、あるいは遠距離の場合、地元に住み続けたいか、家族の近くに引っ越すのでもいいか
  • 誰に介護してもらいたいか(家族なのか専門の介護スタッフがいいのか)
  • 介護に関するお金の使いみちの希望はあるか(自宅を改築したい、施設へ住み替えたいなど)

本当は住み慣れた自宅で暮らし続けたいけれど、「子どもに迷惑をかけたくないから」と気を遣って「施設を希望する」と言っている場合もあります。親の気持ちに寄り添って丁寧にコミュニケーションを取るようにしたいものです。

経済状況

親の介護費用はできる限り親の資産で賄ってもらうのが一番です。お金の話はなかなかしにくいものですが、もらっている年金の額や預貯金額、借金はないか、加入している保険などは把握しておきたいところです。銀行の通帳・印鑑、生命保険証などの保管場所も聞いておきましょう。

余命わずかになったときの希望

  • 延命治療(胃ろうや人工呼吸器の装着など)を望むのか望まないのか
  • 余命宣告を受けた場合、告知してほしいか、誰に告知してもらいたいか(本人か家族か)
  • 知らせてほしい人、会いたい人は誰か
  • 臓器提供や献体に関する希望はあるか

葬儀やお墓に関するこだわりや希望

葬儀やお墓に関するこだわりや希望はあるか、聞いてみましょう。

例えば、以下のようなことです。

  • お葬式をするかしないかの希望
  • お葬式の規模(火葬のみの直葬・家族葬・一般葬・密葬をしその後にお別れの会・社葬)
  • お葬式の形式(仏式・神道式・キリスト教式・無宗教・その他)
  • お葬式の場所(自宅・セレモニーホールや斎場・お寺や教会・公営集会所・その他)
  • 訃報を知らせて葬儀に呼んでほしい人、葬儀後に訃報を知らせてほしい人、訃報を知らせてほしくない人は誰か

お墓については、自分がおひとりさま・おふたりさまの場合、自分の死後どうするかという問題もあります。お墓問題についてはお墓どうするにまとめていますので、ぜひ併せてお読みください。

親と話しをするときに気をつけたいこと

親の希望を聞くにあたって、気をつけたいことがあります。

焦ってストレートに聞き過ぎない

「できる限り親の希望に添った介護をしたい」と思っていても、特にお金のことや延命治療などについては、あまり具体的なことは聞きにくいものです。親が元気なうちに聞いておきたいのですが、とはいえ、焦って聞くのは禁物です。時間をかけて親の気持ちに寄り添って聞き取っていきましょう。

テレビや新聞の情報、知り合いの話題などをきっかけに、「自分だったら、こうしたい」「自分はこう思うけど、どう思う?」と自分の考えを交えると、聞きやすくなります。親の抵抗感も薄れるかもしれません。

親子関係にもよりますが、子どもに苦労や心配をかけたくないという思いやプライドから、本心を話してくれない場合もあります。質問責めにせず、会話の回数を増やして、話しやすい雰囲気をつくっていくようにしましょう。

延命治療などの話題は特に慎重に

延命治療はとてもデリケートな話題なので、一度に全てを聞き出そうとするのは避けてください。

言っていることと本心が違うこともありますし、気持ちや考えが変わることも当然にあり得ます。そのため、一度聞いたら終わりではなく、例えば1年に一度など定期的に親の気持ちを聞いてみましょう。

まとめ

親の希望や気持ちは、いざ介護が必要なときになって見てもわかるように、エンディングノートなどに記録しておくことをおすすめします。

最近は「エンディングノート」や「終活」という言葉もよく見聞きします。こうした話題をきっかけに、親と話をしてみるのもいいと思います。

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