どうせ確定申告しなくちゃいけないのなら、節税効果が高いといわれている青色申告にしようかな…
副業で年間20万円を超える所得がある場合、確定申告が必要になります。
「だったら節税効果の高い青色申告にしよう」と考えている人は注意が必要です。
副業をしているすべての人が青色申告できるわけではありません。
この記事では、青色申告できる所得の種類や、副業で青色申告する場合の注意点などについて解説します。
そもそも青色申告とは?
青色申告という言葉は聞いたことがあるけど、具体的にはどんなものなのかよく分からない…
青色申告は確定申告の種類のひとつ
青色申告は確定申告の種類のひとつで、節税につながる特典の付いた申告制度です。
青色申告をするためには、一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする必要があります。
もうひとつの確定申告方法である「白色申告」と比べて、帳簿の付け方や申告の手続きは手間がかかりますが、節税効果が高いのがメリットです。
青色申告を適用するには3つの条件がある
青色申告にはさまざまなメリットがあるのですが、適用するためには以下の条件をすべて満たさなければいけません。
詳細については後述します。
青色申告の主な節税効果
青色申告にはさまざまな節税できる制度があり、たとえば以下のようなものがあります。
会社員の副業は青色申告できる?
節税効果の高い青色申告ですが、会社員の副業は必ずしも青色申告できるわけではないので注意してください。
青色申告できる所得の種類は限られている
個人の所得税を計算するにあたり、所得は10種類に分類されています。10種類ある所得のうち、青色申告を適用できる所得は3つしかありません。
会社員の給与や退職金、株の配当金などは、青色申告の対象とならないので注意が必要です。
副業は青色申告対象外となるケースが多い
本業の片手間にアルバイトをしている場合は給与所得に該当するため、青色申告の対象とはなりません。
副業でWebライティングやアフィリエイトなどをしている場合、事業所得なのか雑所得なのかによって、青色申告できるかどうかが決まります。
これらの副業は事業所得と認められることが少なく、青色申告対象外の「雑所得」として判断されるケースが大半です。
「副業所得の金額が少ない」「継続的な収入ではない」などの場合、雑所得と判断されます。
「事業所得」か「雑所得」かを判断する基準
副業を青色申告できるかどうかは、「事業所得」「雑所得」のどちらの所得になるのかがポイントになります。
事業所得と雑所得を分ける明確な定義はありませんが、事業とは、「独立・継続・反復して行われる仕事」を指し、「継続性があり相応の時間や設備を投資している」場合に「事業所得」として扱われます。
青色申告を適用するための3つの条件
青色申告するためには次の3つの条件を満たしていなければなりません。
1.所得区分が「不動産所得」「事業所得」「山林所得」のいずれかである
所得税法では、10種類の所得の区分が定められています。そのうち、青色申告ができるのは「事業所得」「不動産所得」「山林所得」の3つです。会社員などの給与所得者で、これらの所得がある場合も青色申告ができます。
2.開業届および青色申告承認申請書を提出している
青色申告するためには、以下2つの届出を行う必要があります。
個人事業の開廃業等届出書
継続的に事業を行う場合に、所轄の税務署に提出します。
基本的に開業してから1ヶ月以内に提出する必要がありますが、未提出による罰則規定がないため、提出していないケースも多いという実態があります。ただし、青色申告をしたい場合は開業届の提出は必須です。
なお、会社員の場合、開業届を出していると失業手当を受け取れないなどのデメリットがあるため、注意してください。
青色申告承認申請書
承認を受けようとする年の3月15日まで(1月16日以降に事業を始めた場合は開業日から2カ月以内)に所轄の税務署へ提出する必要があります。
青色申告承認申請書を提出していないと、特別控除のない白色申告しか利用できません。うっかり提出し忘れないよう、開業届と同時に青色申告の承認申請書を提出しておくことをおすすめします。
3.一定水準の帳簿および書類を作成している
青色申告をする場合には、適正な帳簿の作成が必要です。
青色申告には、所得額から最大65万円を控除できる「青色申告特別控除」という制度があります。ただし、65万円の控除を受けるためには複式簿記による記帳を行い、貸借対照表と損益計算書を作成するなどの要件があります。10万円の控除であれば、現金主義や簡易帳簿による記帳で問題ありません。
青色申告できる所得は3つのみ
所得は全部で10種類ありますが、青色申告はどのような所得でも無条件に申告できるわけではありません。青色申告の対象となる所得は次の3つのみです。
事業所得
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業などの事業から生じる所得のことを指します。ライターやデザイナー、プログラマーなどのフリーランスや、お店を経営している個人事業主などの所得も事業所得に該当します。株式の譲渡や先物取引による所得も、事業的規模で行っている場合には事業所得になります。
不動産所得
不動産所得とは、貸家やアパート、マンションなどの建物や駐車場、貸地など不動産の賃貸による所得が該当します。
山林所得
山林所得とは、山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡したりすることによって発生する所得のことをいいます。ただし、山林を取得してから5年以内に伐採や譲渡を行った場合は、事業所得もしくは雑所得となります。また、山林をそのまま譲渡した場合は、譲渡所得になります。
青色申告できない所得は7種類
青色申告ができない所得は以下の7種類です。
給与所得
給与所得とは、勤務先から受け取る給与や賞与による所得のことを指します。
正社員のほか、派遣社員や契約社員などの給与や賞与も給与所得です。
給与所得のみの会社員の場合、年末調整をしているため、原則として確定申告をする必要はありません。
退職所得
退職所得とは、退職により勤務先からもらう退職手当のほか、退職に関わる社会保険制度による一時金、適格退職年金契約による一時金を指します。
退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合は、受給時に税金が源泉徴収されているため、原則として確定申告する必要はありません。
譲渡所得
譲渡所得とは、土地や建物、借地権などの不動産、ゴルフ会員権などを譲渡したことによって得られる所得のことを指します。
利子所得
利子所得とは、公社債や預貯金の利子による所得をいいます。国内だけではなく、海外の銀行に預金した場合に発生する利子も含まれます。
配当所得
配当所得は、株式の配当金や投資信託の分配金による所得のことをいいます。
一時所得
一時所得は、ここまでに挙げた8種類の所得に当てはまらない所得のうち、営利を目的とした行為以外からの所得で、労務や譲渡の対価としての性質がない「一時的な所得」のことです。
懸賞の賞金や、競馬や競輪の払戻金、生命保険の一時金、損害保険の満期払戻金などが該当します。
雑所得
雑所得とは、上記に挙げた所得のいずれにも該当しない所得のことを指します。
公的年金のほか、作家以外の人の原稿料や印税、講演料などによる所得、事業的規模ではない株式の譲渡や先物取引による所得などが含まれます。
まとめ
節税効果の高い青色申告ですが、青色申告するためには3つの条件があります。副業で青色申告できるかどうかは、事業所得になるのか雑所得になるのかがポイントです。
副業をしているすべての人が青色申告できるわけではないので注意しましょう。