個人事業主や副業する会社員が所得税を節税するための3つのポイント

資産運用・税金
マネオくん
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所得税って高いなぁ。少しでも節税する方法はないかな…

所得の金額を減らすことができれば、所得税を節税できます。

所得税は、個人の1年間の所得に対してかかる税金です。つまり、所得の金額を減らせば所得税も減らすことができます。とはいえ、所得税を節税するために収入を減らすのは本末転倒です。

この記事では、収入を減らすことなく所得税を節税するためのポイントを解説します。

所得税を節税する3つのポイント

所得税は所得に税率をかけて計算します。そのため、所得の金額をいかに少なくすることができるかがポイントになります。
節税方法をご紹介する前に、そもそも所得税はどのように計算されるのかを簡単に確認しておきましょう。

所得税の計算の流れ

所得税の計算方法
  1. 「収入」から「必要経費」を差し引いて「所得」を算出する
  2. 「所得控除」を差し引いて「課税所得金額」を算出する
  3. 所得税の税率を乗じて「基準所得税額」を算出する
  4. 「基準所得税額」から「税額控除」を差し引き、最終的な納税額を算出する
マネオくん
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いろいろな用語がでてきて、よく分からないなぁ…

要約すると、『「収入」から「必要経費」と「所得控除」「税額控除」を差し引いて納税額を計算する』ということになります。
つまり、収入から差し引くもの(経費と控除)を多くすれば、所得税は減るというわけです。

節税するためのポイントは3つ

収入から差し引くものを多くするためには、次の3つのポイントを押さえましょう。

  1. 必要経費をもれなく計上する
  2. 控除をもれなく申告する
  3. 青色申告をする

それぞれについては、この後詳しく説明します。

なお、上記3つのうち、『3. 青色申告をする』については、副業の場合は適用が難しいことも多いです。

青色申告は節税効果が高いのですが、適用できる所得の種類が限定されています。
事業所得であれば青色申告を選ぶことができますが、雑所得では青色申告はできません

副業は事業所得ではなく雑所得とみなされるケースが多いため、副業の場合、青色申告を使えるケースは少ないことに注意してください。

1. 必要経費をもれなく計上する

必要経費とは、事業をするうえで(収入を得るために)かかった費用をいいます。必要経費をできるだけ多く計上し所得の額を減らせば、結果的に税額を減らすことにつながります。事業に関わる支出はもれなく必要経費として計上しましょう。

経費にできる支出とできない支出

事業をするうえでかかった支出は、もれなくすべて経費に計上(=帳簿につける)します。

Webライターの場合、例えば、仕事で使う文房具や書籍の購入代、取引先との打ち合わせの際の飲食代、取材時の交通費なども必要経費として計上できます。

1点注意しなければならないのは、「事業に関係しない支出」は経費に含めてはいけないということです。例えば、趣味の書籍代、自分だけで食べた飲食代などは経費にすることができません。

自宅兼事業所なら按分して経費にできる

個人事業主は自宅で仕事をしている方も多いと思います。このような場合、家賃や光熱費の一部を必要経費にできます。

ただし、全額を経費にすることはできません。事務所(仕事場)と住居部分の面積や使用頻度に応じて割合(比率)を決め、事業にかかる分を経費として計上します。これを「家事按分(かじあんぶん)」といいます。

この割合は事業主自身で決めますが、実態とかけ離れた割合にならないように注意しましょう。また、この割合は、一度決めた後に明確な理由なく変えることはできません。原則として、毎月同じ割合で計算します。

賃貸住宅の場合、家賃や共益費を家事按分できます。
例えば、家賃12万円の住宅の一部を事務所(仕事場)として利用しているとします。3分の1程度の面積を使用しているのであれば、4万円を経費として計上できます。

持ち家で仕事をしている場合、住宅ローンの元本支払額は経費になりませんが、支払利子は経費にできます。この場合も使用割合に応じて按分します。
なお、事業用割合が床面積の2分の1を超えると住宅ローン控除の適用を受けられなくなるので、住宅ローン控除を利用している人は注意が必要です。

また、水道光熱費や通信費も、家事按分して経費にすることができます。

経費にできる税金もある

個人が納めるべき主な税金は所得税と住民税ですが、その他にも事業内容によってかかる税金があります。
税金は、必要経費にすることができるものとできないものがあります。

経費に計上できる税金

経費に計上できる税金には以下のようなものがあります。「租税公課(そぜいこうか」という勘定科目を使って経費に計上します。

経費に計上できる税金の例
  • 事業税
  • 消費税
  • 固定資産税
  • 自動車税
  • 自動車所得税
  • 不動産所得税
  • 登録免許税
  • 印紙税

経費に計上できない税金

経費に計上できない税金には以下のようなものがあります。

経費に計上できない税金の例
  • 所得税
  • 住民税
  • 相続税
  • 贈与税
  • 交通反則金などの罰金
  • 加算税(税金の過少申告や無申告などの際に課せられる)
  • 延滞税(税金の納付が遅れた際に課せられる)

領収書やレシートは大切に保管しておく

経費として計上するには、購入した際の領収書やレシートが必須です。捨てずに必ず取っておきましょう。ネット通販で購入した場合、領収書が同梱されないケースもあるので、その際は購入サイトから印刷するのを忘れないようにしてください。

帳簿をきちんとつけることも大切です。
帳簿づけの際、「どの勘定科目を使えばいいのか」迷うこともあるかもしれません。
でも、勘定科目は「絶対にこうしなければならない」という明確なルールはないので、自分で決めた基準に則って決めれば大丈夫です。

例えば、書籍を購入した費用を「新聞図書費」としても「資料費」としても、税額が変わることはないので、細かいことを気にする必要はありません。勘定科目の細かな違いを気にするよりも、かかった費用をもれなく帳簿につけることのほうが重要です。

2. 控除をもれなく申告する

控除には、所得控除と税額控除があります。経費と同様に、控除が増えれば増えるほど課税される金額は少なくなるため、控除できるものがあれば、もれなく計上しましょう。

所得控除と税額控除については、こちらの記事で詳しく解説しています。

ここでは、個人事業主や会社員がぜひ活用したい控除を紹介します。

ふるさと納税を活用する

ふるさと納税は、都道府県や各市区町村に寄附をして、寄附した自治体から返礼品をもらうことができる制度です。
寄付したお金は「寄附金控除」として控除することができます。寄附金控除は年末調整では適用できないので、会社員であっても確定申告をする必要があります。

医療費控除を活用する

自分や生計を一にする親族のために支払った医療費が年間10万円を超えるとき、または対象となる医薬品を年間12,000円を超えて購入したときに、「医療費控除」として所得から控除することができます。

寄附金控除と同様、医療費控除は年末調整では適用できないので、会社員であっても確定申告をする必要があります。

小規模企業共済に加入する

小規模企業共済は、一定額の掛金を毎月積み立てて、廃業時などに共済金として受け取ることができる制度です。掛金の全額を「小規模企業共済等掛金控除」として所得から控除することができます。

小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者などのための退職金制度といわれています。会社員は加入できないため、個人事業主やフリーランス限定の節税対策になります。

個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する

個人型確定拠出年金(iDeCo:イデコ)は、毎月一定の金額を拠出し、それを元手に投資を行うことで老後の資産形成に備える制度です。原則として60歳以降に年金として受け取ることができるしくみになっています。

iDeCoの掛金は、「小規模企業共済等掛金」として、その全額を所得から控除できます。運用益に税金がかからないのも特長です。

iDeCoは職業などによって1年間に拠出できる金額が異なります。個人事業主なら(国民年金基金の掛金との合算で)年間816,000円まで掛けられます。

生命保険などに加入する

生命保険・介護医療保険・個人年金の保険料を支払った場合、「生命保険料控除」として、一定額を所得から控除することができます。

2011年12月末までに契約した保険と、2012年1月以降に契約した保険では、控除額の計算が異なる点に注意が必要です。

地震保険に加入する

持ち家で地震保険に加入し保険料を支払っている場合には、その保険料の一定額を所得から控除できます。これを地震保険料控除といいます。

3. 青色申告をする

青色申告は、複式簿記による記帳を行い、決算書(損益計算書・貸借対照表)を作成するなどの手間がかかりますが、多くのメリットがありその節税効果は絶大です。

なお、当記事の冒頭で述べたとおり、副業は雑所得となるケースが多く、青色申告を適用できるケースは少ない点に留意してください。事業所得とみなされれば青色申告することができます。

メリット1:青色申告特別控除が受けられる

青色申告特別控除は、実際にかかった経費に追加して最高65万円を所得から控除できる制度です。

経費のように実際にお金を使ったわけでもないのに、経費と同じように利益から差し引くことができるのは、大きな節税効果があります。

メリット2:青色事業専従者給与の特例を受けられる

配偶者や家族と一緒に仕事をしていて、その家族に給与を支払った場合、青色申告で一定の条件を満たせば、給与を経費とすることができます。白色申告では経費にはできません。

経費にできるということは、所得の金額を減らすことになるので、結果として税金の額も減ることになります。

メリット3:赤字の繰り越しと繰り戻しができる

青色申告では、年間の損益が赤字になった場合、その年の翌年以降最長3年間にわたり、その赤字を繰り越すことができます。赤字を繰り越して翌年の利益と相殺すれば、翌年分の所得を減らすことができるため、節税に繋がります。これを「純損失の繰越控除(くりこしこうじょ)」といいます。

例えば、今年の損失が150万円、翌年の利益(所得)が200万円だった場合、損失分を繰り越して差し引くと、翌年の所得は50万円となります。ここから、青色申告特別控除65万円を差し引けば、課税所得額は0円(50ー65=△15:マイナスの場合は0円になる)となり、所得税は課税されません。

また、損失額を赤字が生じた年の前年に繰り戻し、前年分の所得税の還付を受けることもできます。これを「純損失の繰戻還付(くりもどしかんぷ)」といいます。

メリット4:30万円未満で購入したものを一括で経費にできる

パソコンや高価な椅子など単価が10万円以上のものを購入した場合、白色申告では購入費用全額をその年に一括で経費に計上することはできません。長期にわたって利用できるものであるため「固定資産」として計上し、減価償却という方法で数年に分けて経費にしなければならないのです。

例えば、24万円のパソコンを購入した場合、パソコンの法定耐用年数は4年なので、毎年6万円を減価償却費として経費に計上していくことになります。

これに対し青色申告では、単価が30万円未満のものであれば、年間合計300万円を上限として、その全額を一括して、購入した年の経費にすることができます。これを「少額減価償却資産の特例」といいます。

この特例は、翌年以降の経費を前倒して購入した年に計上するので、翌年以降の経費は減少してしまうことになります。今年多くの利益が出るけれど翌年は収入が減る見込みの場合、特に有効といえます。逆に、今年あまり利益が出ていないのであれば、購入した年に一括して経費に計上するメリットは少なくなるので注意しましょう。

まとめ

所得税は、1年間の所得に対してかかります。つまり、所得税をなるべく少なくするには、いかにして所得の金額を減らせるかがポイントになるわけです。
経費を増やすか、あるいは、適用できる控除をもれなく申告すれば、所得の金額を減らすことができます。

必要のないものを購入して経費を増やすなどは本末転倒ですが、この記事のポイントを押さえて、上手に節税しましょう。

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