NISAにするか、つみたてNISAにするか迷う・・・。
一度決めたら変更できないのかな?
NISAとつみたてNISAは1年単位で変更できます。
手続き方法や注意点を解説します。
「NISA」と「つみたてNISA」の併用はできない
NISAの種類
NISAは、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入した投資信託などの金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度です。
対象となる金融商品や非課税で運用できる期間の違いなどにより、「NISA」と「つみたてNISA(*)」の2種類があります。なお、正確には、未成年者(0~19歳)を対象とした「ジュニアNISA」もありますが、この記事では割愛します。
* 「積立NISA」ではなく、ひらがなで「つみたてNISA」が正式名称です。
NISA口座は、1人1口座(1金融機関)のみ開設できます。複数の金融機関で運用することはできないので、金融機関を変更したい場合は、一方を解約するか停止する必要があります。
「NISA」と「つみたてNISA」は併用できない
NISAとつみたてNISAは選択制で、同じ年に両方を利用することはできません。ただし、年ごとにNISAとつみたてNISAを変更することは可能です。変更を行う場合は原則として暦年(1月1日から12月31日まで)単位となります。
『NISAからつみたてNISA』または『つみたてNISAからNISA』に区分を変更するには
当年中に変更したいのか、翌年から変更したいのかによって、手続き期間が異なります。
変更可能期間が決まっている
当年中に変更したい場合
その年中に区分変更したい場合は、1月から9月の間に「非課税口座異動届出書」を金融機関に提出しなければなりません。
なお、1月1日以降にNISA枠で購入した投資信託または分配金受取りがあった場合には、その年の変更はできず、翌年の変更になります。
翌年から変更したい場合
原則として、変更しようとする年の前年の10月から12月の間に、金融機関で変更の手続きを完了する必要があります。
「非課税口座異動届出書」を、区分変更したい年の前年10月から12月に金融機関に提出することで、翌年からの変更になります。
区分変更の留意点
区分変更にはいくつか留意点があります。
- すでにその年に非課税枠を利用している(取引を一回でもしている)場合は、当年中の区分変更はできません。
- NISA・つみたてNISA口座の開設手続中や税務署審査中は区分変更の申込みができないので、口座開設手続き完了後に申込みをすることになります。
- 変更しようとする年の前年の10月から12月の間に、「非課税口座異動届出書」提出したとしても、勘定を変更したい年(翌年)の非課税枠を利用した場合は、制度上、勘定変更(NISA⇔つみたてNISA)はできません。買付約定したのが当年であっても、受渡日が翌年1月以降となる場合は翌年の非課税枠を利用したことになるからです。
- 変更前の勘定で申込んだ投信つみたては、勘定変更後は積立買付できません。変更後の勘定での投信つみたてのお申込みは1月1日より可能となります。
区分変更するための手続き方法
主要なネット証券別に手続きの流れを確認しましょう。
SBI 証券
- サイトから申し込みをして書類(「非課税口座異動届出書」)を取り寄せる
- 郵送された「非課税口座異動届出書」に必要事項を記入し、本人確認書類のコピーを同封して返送する
- 書類返送後、書類が到着してから1~2営業日程度で変更手続きが完了
楽天証券
書類の手続きは不要で、楽天証券のサイト上での申し込みだけで変更できます。リアルタイムで完了するので手間がかからず、スピーディーに変更できるのがメリットです。
松井証券
- サイトから申し込みをして書類(「非課税口座異動届出書」)を取り寄せる
- 郵送された「非課税口座異動届出書」に必要事項を記入し、本人確認書類のコピーを同封して返送
- 手続きが完了した翌営業日取引分から取引が可能
マネックス証券
NISA口座における勘定の変更(NISA⇔つみたてNISA)を行う場合は、その変更のタイミングによって手続き方法が異なります。
その年中に変更する場合
- コールセンターに連絡して、勘定変更にかかる書類(「非課税口座異動届出書」)を取り寄せる
- 郵送された「非課税口座異動届出書」に必要事項を記入し、本人確認書類のコピーを同封して返送
翌年から変更する場合
- 毎年9月上旬から12月中旬にかけて、サイトから「非課税口座異動届出書」を請求する
- 郵送された「非課税口座異動届出書」に必要事項を記入し、本人確認書類のコピーを同封して返送
このなかでは、楽天証券のみオンラインで処理が完了可能です。SBI証券と松井証券は、サイトから申し込んで書類を取り寄せて、返送する必要があります。マネックス証券はネットでは書類の取り寄せができず、コールセンターに電話しなければいけないのがちょっと面倒です。
金融機関を変更するには
金融機関は、一定の手続きのもと年単位で変更することができます。
変更可能期間(期限)に注意
当年中の変更
変更をしようとする年の9月末までに、変更前・変更後それぞれの金融機関で変更の手続きを完了する必要があります。また、その年に既にNISA口座内で金融商品の購入をしていた場合には、変更できるのは翌年の投資分からとなります。
翌年からの変更
変更を希望する年の前年の10月1日から12月末までに、変更前・変更後それぞれの金融機関で手続きする必要があります。
金融機関を変更する際の留意点
- 金融機関等を変更する年に、すでにその年分の枠を一度でも利用している場合、翌年まで金融機関の変更はできません。
- 買付けた商品は、別のNISA口座へ移管することはできません。買付けた商品は、買付けをおこなった金融機関のNISA口座で引き続き保有することになり、変更後のNISA口座へ移管はできないので注意してください。
金融機関を変更するための手続き方法・流れ
(1)変更「前」の金融機関に対して行うこと
- 「金融商品取引業者等変更届出書」または「非課税口座廃止届出書」を提出する
- 変更前の金融機関から「非課税管理勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」が郵送される
補足:
- NISA口座の金融機関を変更する場合は「非課税管理勘定廃止」
- NISA口座を解約し、別の金融機関でNISA口座を開設する場合は「非課税口座廃止」
(2)変更したい金融機関に対して行うこと
- 金融機関変更の書類請求申込をする
- 「非課税口座開設届出書」が郵送されるので、必要事項を記入する
- 書類を返送する
- 非課税口座開設届出書
- 本人確認書類
- マイナンバーを確認できる個人番号記載書類(「通知カード」または「個人番号カード」)
- 「非課税管理勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」(利用中の金融機関から発行されたもの)
(3)証券会社側の手続き
証券会社は、提出された書類を審査し、不備などがなければ、税務署に対してNISA口座開設の可否の確認を行います。
税務署でのNISA口座開設に関する確認が完了すると、税務署から証券会社あてにNISA口座開設確認の通知がなされます。 その通知を元に、証券会社からNISA口座開設完了の連絡がきます。
まとめ
当年中に変更したい場合は、区分変更、金融機関変更ともに、その年の9月末までに金融機関での処理を完了する必要があります。一方、翌年から変更したい場合は、前年の10月から12月の間となります。
申請期間に注意して、手続きを行いましょう。