- 国民年金はまとめて前払いするとお得らしいけど、どれくらい得するの?
- 毎月支払うのと比べて、どんなメリット・デメリットがあるのかな?
- 支払いはクレジットカードと口座振替のどっちがいいんだろう?
- まとめて前払いすると、どれくらいお得になるのかまとめました
- クレジットカードまたは口座振替にする場合の留意点
- まとめて前払いする場合の留意点
まとめて前払いすると、どれくらいお得になるのか
まとめて前払いすることを『前納』といいます。前納すると毎月払うよりどれくらい得するのかについてまとめました。
国民年金保険料はひと月あたりいくら支払う?
令和4年度(2022年4月〜2023年3月)の1ヶ月当たりの国民年金保険料は16,590円です。
国民年金保険料の支払い方法は全部で4つあります。
支払い方法 | 1ヶ月の保険料 |
---|---|
現金払い | 銀行、郵便局、コンビニで支払う |
電子納付 | Pay-easy(ペイジー)というシステムを利用し ATMやインターネットバンキングで支払う |
クレジットカード払い | 事前に申し込みが必要 |
口座振替 | 事前に申し込みが必要 |
Pay-easy(ペイジー)について詳しく知りたい方は公式サイトがわかりやすいです。
早割にすると50円安くなる
口座振替で『早割』制度を使うと、50円安くなり、16,540円になります。
国民年金保険料は、1ヶ月ごとに支払う場合、翌月末が納期限です(例えば、9月分なら10月31日)。一方、早割とは口座振替で1ヶ月早く納付する(=当月末納付:例えば、9月分なら9月30日)ことをいいます。なお、現金払いや電子納付には早割制度はなく、1ヶ月早く納付しても割引はありません。
まとめて払うと保険料が安くなる
保険料は1ヶ月16,590円です(令和4年度)。どうにかして少しでも安くする方法はないのでしょうか。
まとめて前払い(前納)すると、割引が適用されるのでおトクです。前納できる期間は「6ヶ月分」「1年分」「2年分」の3パータンがあり、期間と支払い方法によって割引率が異なります。
- 6ヶ月前納(4月分~9月分、10月分~翌年3月分)
- 1年前納(4月分~翌年3月分)
- 2年前納(4月分~翌々年3月分)
支払い方法 | 1ヶ月分 | 6ヶ月分 | 1年分 | 2年分 |
---|---|---|---|---|
毎月納付 | 16,590円 | 99,540円 | 199,080円 | 397,320円* |
【前納】現金・電子納付 クレジットカード | ー | 98,730円 (810円) | 195,550円 (3,530円) | 382,780円 (14,540円) |
【前納】口座振替 | 16,540円 (50円(早割)) | 98,410円 (1,130円) | 194,910円 (4,170円) | 381,530円 (15,790円) |
( )内は、毎月納付との差額
*令和5年度の保険料は1ヶ月16,520円なので、2年間だと397,320円になります。
口座振替で1年分を前納すると、節約額は4,170円。2年分前納だと、毎月納付より15,790円も安くすることができます。2年分納付の割引率が最も高いことがわかります。2年分を一括で納付すると38万円を超えてしまいますが、保険料の1ヶ月分近い金額を節約できるのは大きいですね。
現金(電子納付含む)またはクレジットカードの場合は、2年前納で節約できるのは14,540円です。節約額は、口座振替より1,250円減ってしまいますが、カードのポイント還元率によっては、クレジットカードでの納付の方がお得になります。
クレジットカードまたは口座振替にする場合の留意点
クレジットカードまたは口座振替は現金で払うより手間もかからずお得だということがわかったところで、留意点について確認しましょう。
事前に申し込みが必要
現金払い(または電子納付)であれば、日本年金機構から送付されてくる納付書で支払うことができます。事前の手続きなどは不要です。
一方、クレジットカードまたは口座振替にしたい場合は、事前に申し込み手続きをする必要があり、申し込み期限が定められているので注意してください。
必要書類など
必要なものは以下のとおりです。
- 国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書兼国民年金保険料口座振替依頼書(金融機関や年金事務所の窓口にあります)
- 口座番号のわかるもの(通帳またはキャッシュカード)
- 届出印(通帳に使っている印鑑)
- 国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書(年金事務所の窓口にあります)
- 利用するクレジットカード
申し込み用紙は日本年金機構のHPからもダウンロードできます。
また、申し込みにあたっては基礎年金番号のわかるもの(年金手帳や納付書など)も準備しておいてください。
手続き場所
銀行(口座振替の場合)または年金事務所で手続きをします。郵送でも可能です。
申し込み期限
2年、1年、6ヶ月(上期:4月分から9月分)は2月末まで、6ヶ月(下期:10月分から翌年3月分)は、8月末までです。手続きには1〜2ヶ月程かかります。
ポイント還元率に注意
クレジットカードの中には、国民年金保険料の支払いに対応していないものもあります。そもそも、支払いができないということです。
また、支払いには対応しているけれども、国民年金の支払いでは、ポイントが付かないクレジットカードもあります。
ポイント還元率が0.5%以上のクレジットカードを選びましょう。0.2%だと口座振替のほうがお得になります。
よく使われているカードをいくつか例に挙げてみます。
納期限に納付できないと、割引なしになる
クレジットカードなら利用限度額、口座振替なら残高不足に注意が必要です。カード決済または振替ができなかった場合、次の振替日(2年前納・1年前納なら翌年4月末)までの間、割引のない「翌月末振替」になってしまいます。
まとめて前払い(前納)する場合の留意点
前納すると保険料を安くできますが、いくつか気をつけなければならない点があります。
社会保険料控除はどう計算する?
国民健康保険料や国民年金保険料などは、原則として支払った年に一括して社会保険料控除として処理します。
ただし、今年よりも来年のほうが利益が出そうだと見込まれるときは、2年前納した分を全額今年の控除としないほうが税金計算上、有利になるケースがあります。
2年前納した保険料の社会保険料控除については、各年分の保険料に相当する額を各年に控除する方法も選ぶことができます。2年前納した保険料を各年に分割して申告する場合は、3年にわたって分割することになります。
口座振替で24ヶ月分(令和4年4月分~令和6年3月分)381,530円を前納した場合
(1)令和4年の控除対象額(令和4年4月分~令和4年12月分までの9ヶ月分)
381,530円 ×( 9ヶ月 / 24ヶ月)= 143,073円
(2)令和5年の控除対象額(令和5年1月分~令和5年12月分までの12ヶ月分)
381,530円 ×(12ヶ月 / 24ヶ月)= 190,765円
(3)令和6年の控除対象額(令和6年1月分~令和6年3月分までの3ヶ月分)
381,530円 - (1) - (2) = 47,692円
控除証明書は10月末ころに送付されます。通常はハガキなのですが、2年前納の場合はA4のものが送られてきます。これは、「全額を納付した年に控除する場合」と「各年分の保険料に相当する額を各年に控除する場合」のどちらにも対応しているためです。
「毎月納付」「6ヶ月前納」「1年前納」の控除証明書(ハガキ)
途中で就職や法人成りした場合
会社に就職した場合や法人成りして厚生年金に加入した場合、厚生年金に加入後の前納分は還付されます。ただし、前年の確定申告で社会保険料控除を受けている場合には修正申告が必要になるので、ちょっと面倒です。
免除を受けた場合
所得が少ないなど保険料を納めるのが難しい場合には、保険料の支払い免除や納付を猶予できる制度があります。ただし、すでに保険料を前納している月に関しては、免除されないのがデメリットといえるでしょう。
ちなみに、免除を受けると、iDeCoや付加年金、国民年金基金を利用できなくなります。
まとめ
国民年金保険料は、どのみち必ず払わなくてはならない国民の義務です。なるべく手間をかけずにお得に払うには、クレジットカードか口座振替がおすすめです。どちらにするかは、ポイント還元率をしっかり確認して決めましょう。
2年前納が一番お得とはいえ、約40万円を一括で支払うのはちょっと勇気がいりますね。そのお金を投資にまわして運用するという考え方もあります。
自分に合った方法はどれなのか、ぜひ検討してみてください。